「歯周病菌はキスや食器の共用でうつる」って本当ですか?
赤ちゃん~幼児の子育て世代のお母様方からよく聞く質問です。
歯周病の人と一緒に暮らして大丈夫?
当然気になりますよね。
キスをしたり同じスプーンを使ったりしない方がいいのでしょうか?
今日は、この辺りを紐解いてみたいと思います。
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歯周病の原因は歯周病菌、ばい菌です。
つまり、風邪やインフルエンザなどと同じ、感染症なのです。
だから当然、結論から言えば、歯周病は人から人にうつります。
歯周病の半分程度は、夫婦間の感染であるという研究もあり、欧米では広く知られているところです。
それならば、「あの人とは一緒に暮らせない!」って人が出てきそうですね。
しかし安心してください。一概に歯周病菌が感染するとは言えないからです。
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※歯周病菌が入ってくることと、感染することはちがう
歯周病菌が口の中に入ってきても、定着して増殖(=感染)しなければ歯周病にはなりません。
歯周病菌が感染・増殖し、バイオフィルムと呼ばれる“菌のかたまり”になると、歯周組織を破壊していきます。
つまり、歯周病菌が口に入ってきても、増殖できる環境でなければ、歯周病にならないのです。
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※歯周病菌が増殖しない環境とは?酸素が重要→嫌気環境と好気環境
菌には酸素を好む好気性菌と、酸素を嫌う嫌気性菌がいます。
川をたとえに説明します。。
流れのはやい清流は、空気をたくさん巻き込みます。つまり、酸素を多く含んでいます。
だから、清流の水の中は嫌気性菌が増えることが出来ず、飲んでも平気です。
逆に、流れていない川や溜水は、あまり酸素を含みません。
このような水の中は嫌気性菌が増殖し、嫌なにおいがしますし、飲んだらおなかをこわします。
人の口の中も同様で、酸素が届きにくい場所には悪玉菌が増殖します。
深い歯周ポケットの中、清掃してない歯と歯の間、歯垢・歯石の中、のど・舌のくぼんだ部分などです。
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※歯周病菌の感染を防ぐためのバイオフィルム除去
歯周病菌の感染を防ぐにはどうしたらいいでしょうか?
たちの悪い歯周病菌は、たいてい嫌気性菌です。
だから、口の中を酸素の多い環境にすればいいのです。
川の水→“唾液”に置き換えて考えてみましょう。
まずは、口の中のすみずみまで唾液が流れていきわたる様子をイメージしましょう。
唾液の流れを妨げるものは何でしょうか?
やはり、歯や舌の表面を覆う歯垢や歯石、バイオフィルムですね。
歯と歯の間の清掃や、定期的な歯科医院でのクリーニング・メンテナンス、舌やのどをいい状態に保つ過ごし方、などが鍵になります。
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※風邪予防のために誰とも会わず、どこにも出かけない人はいない
風邪をひきたくないからって、他人との接触を完全に断っては、生きていけません。
同じように、歯周病菌の存在を過度に恐れては、生活できません。
悪玉菌が口の中に入ってきても、定着・増殖しない環境を整え、歯周病を予防しましょう。
しかし、わざわざインフルエンザの人と接触する人もいませんよね?
風邪を他人にうつさないようにマスクをすることが常識ならば、
歯周病を他人にうつさないようにきちんと口の中のお手入れをするのも常識ですよね。
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※現在は、歯周内科治療やバクテリアセラピーがある
昔は歯医者さんも、「歯周病だから仕方がない」という様な言い方をしていました。
今は治療技術も進み、歯周病菌が感染してしまった人でも薬で除菌が出来ます。
また、バクテリアセラピーといって善玉菌を摂ることで悪玉菌の侵入を防ぐ方法もあります。
ぜひ、定期的に歯科医院でメンテナンスを受け、悪玉菌に負けない口の中の環境づくり、正しい知識の習得につとめて下さい。
赤ちゃんや高齢者の感染予防には、バクテリアセラピーがお勧めです。虫歯・歯周病・口臭はもちろんのこと、便秘やアトピー性皮膚炎、骨粗鬆症予防、肺炎予防にも効果があります。
舌・のどを好気環境に保つリハビリテーションや生活習慣も、健康のために重要です。
お気軽におたずね下さい。
池田デンタルクリニック院長 池田現人
2019年11月11日 23:21